「OHJ工房」カテゴリーアーカイブ

掛け軸を知っていますか。

さて、では少し、掛け軸の話をしましょうか。

前回、掛け軸の話を書いてから既に1年を経過しております・・・
そんな前だっけ、と。

まぁ、毎月早いとか速いとか書いており、くどいのでその件は今回は触れずにおきますが、書きたいなぁと思っていても中々腰が重く。
日本画の画材についてのブログも書きましたので、日本画も久しぶりに制作過程を写真撮りつつ描きたいなぁと思いつつ、一歩も踏み出せていないですね。
今年度こそは、絵をほんの少しでもまた復活したいです。
「10年後に無くなる職業」なんてのを時々テレビでやっていますが、残るのは絵だとか音楽だとか、伝統文化、芸術の部分のみと言われています。
寂しい話ですが、それが現実なのでしょう全部機械に取って代わられる・・・と言いつつも、仕事で絵を確立するのはとても難しい事は学びました。
ですが、せっかくこういう芸術にも身を置いた経験がありますので、ごく僅かでも火だけは消さないようにしたい、美術的思考を忘れたくない、そんな想いです。

いつものように道を反れましたが、掛け軸の話に戻しましょう。
掛け軸を独学で研究し始めたのが2010年の9月でした。当時、インターネットで手に入る情報などほんのちょっとでした。
軸装しますよ、というショップは検索かかるけれど、製作方法について明かしている人は殆どいらっしゃらなかった。
調べる為、手に入りそうな本は全部買いましたし、東京にも表装を習いに行きました。
掛け軸の事を書くにあたって、まずは日本画の裏に和紙を貼って丈夫にする、という事から順を追って書き始めるのが常套なのですが、それじゃ面白くないので、誰もが興味があるだろう「風帯」、予告通りコレから始めてみます。

風帯は「ふうたい」と読み、このブログの一番上の写真、掛け軸から垂れ下がるプラプラした物体の事を呼びます。
掛け軸を勉強する前、頭の中で掛け軸を空想した物には、こんなプラプラは付いていませんでした。
なので、見た時ビックリしました。何・・・コレ?

答えを書きますと、
掛け軸の文化が始まったのはお隣の中国ですね、当時、掛け軸は外で見て楽しむ物だったそうです。
外に掛けておくと、鳥がやって来ては大事な軸を汚してしまう、だから鳥除けの道具が必要→掛け軸に風が当たると揺れる鳥除けを付けちゃえば、いちいち棒で追い払わないで済むんじゃないの、って事で生まれたのが風帯。
え?
そんな物??
揺れないよね。多分アレを揺らすには、相当な強風が必要です。外では見ていられないくらいの風でしょう。
それもそのはず、
今現在日本で主流になっている機械表装は、この風帯をボンドで接着しているものが殆どでしょう。
jiku2
これは外注して作ってもらった掛け軸なのですが、このように、二枚の紙を表裏に重ね、袋状に完璧に貼り合わせています。
カッチカチですね。
ちなみに、仕舞う時はこうやって折り曲げて丸めます。
伸ばしたままクルクル巻くと巻きグセが付いてしまって、箱から久しぶりに出した時に風帯がクルンって反ってしまうからです。

あまり良い写真ではなかったので、私が作った物で急遽比較してみました。
jiku3
同じ指で支えているのですが、
上のピンとなっているのがボンド貼り付けで、ダラーンとなっているのが「くけ縫い」という手法で手縫いした風帯です。
ぐったりしている方なら揺れそうかなぁ、と思いますが、今やボンド貼りが主流な為、
職人さんがこういうくけ縫いをした風帯を作ると
「オタクでこしたえてもらった掛け軸の、二本ぶら下がっているネクタイのようなものの横がほころびている、これじゃ困るので直してくれ」というクレームが入ったりするそうです。
(「誰でもできる裏打・掛軸教室」小池丑蔵著より)

このくけ縫い、をする前は、ボンドをちょんちょんと等間隔で付けていく止め方もあるみたいで、しばらくそれでやっていたのですが、
調べていく過程で「くけ縫い」というのが本来の方法と知り、どうせ「ほころび」と言われてしまうのなら縫おう、と練習しました。
その「くけ縫い」っていうのが10年前では検索できずに困った過去の話なのです。
今は、くけ縫いで簡単に検索できますね。
とは言っても、どのように風帯を縫うのか、非常に気になりますよね?
あ、ならないですか。笑
まぁ、いいです、とりあえず、今回はここまで。

次回、一年後かもしれませんが、続きをお楽しみにお待ち下さい。

カレンダー制作中止のお知らせ。

一昨年の今頃、一生懸命に作成していたオリジナル・カレンダーですが、今年はやらない事にしました。

さて、
今回の年末年始は、土日も重なって長い連休になるところが多いと聞きます。
その連休の間に、何か楽しめる物を提供できないかなぁ、と考えて・・・
私どもの会社は、別にそういったのをやっている会社では無いですが、ブログを見てくださっている皆様への、特典的な面白さは無いかなぁ、と常に考えているのですが、
昨年はそれがオリジナル・カレンダーだった訳です。

急展開させましたが、そういう繋がりになってました。笑

思い返してみると、この2~3年は、トップページの画像を描いたくらいで、時間をかけて制作したものは無いなぁ・・・・・
と、あ!思い出しました。
2015年の話ですが、社内で
「せっかくAdobe社のソフトを契約しているのだから、何か
オレンジハウス流のオリジナルの・・・例えば『大人の塗り絵』みたいなのを作れない?額に入れて飾れるような大きいサイズとか」って聞かれて、
なるほど!ちょっと挑戦してみます、って試作した物があったのを思い出しました。

写真を撮りに行ってる暇がなく、
「使用OK」のサイトの中で探して作ったので、掲載しても問題ないはずです。

お世話になったサイトは・・・
既にページが存在しておりません。似たような写真を探してみたのですが、どうやら見つからないようです。
(2023年加筆)

はいっ、で、
作ったものがコチラです。
rurikouji_mono

(2023年加筆)
データサイズが36MBもあったのが影響してか、殆どダウンロードされていませんでした。
残念ながら需要が無かったと見做し、今回の加筆にてダウンロードは取り止め、
写真を掲載するのみ、としました。

塗り見本として用意しました。
rurikouji_nurimihon
ちょっと木をガチャガチャガチャガチャ描き過ぎですかね。

どんな物を制作しても、
インターネットが普及した現代では、すぐさま検索され、盗作だとかモノマネだとか言われてしまいます。
まったくの個人的な持論ではありますが、
正直、もうそういうのを防ぐ事は無理だと思ってます。
当然、流用された側としては面白くないのは理解できますが、本当にただ本当に似通ってしまった場合もあると思うのです。
そういう場合、どこに価値を付けるかとすると、緻密さだったり、配置だったり色合い、素材・・・見る人にとってお金を支払ってでも欲しいという理由があれば、その作品は良い作品だと考えています。
私自身、インターネットやテレビなどの画像・映像から、あっ!って思ってアイデアを戴く事も多く、完全オリジナルというのを生み出すのは難しいのが実情です。
複製リトグラフだとか贋作だってお金を払って買う人はいらっしゃる、
物の価値というのは人それぞれ様々で、それがニセモノであっても、時間をかけて作ったのが見る人に伝われば、きっと買いたいというものになると思っていて、
この私が描いた線描画も、仕事の合間に時間をみつけてはコツコツ手探りで制作しました。
トータル時間にすれば20時間くらいかなぁ・・・話をまた大きく飛躍させたので分かりづらかったと思うのですが、
『大人の塗り絵』というのが実在しているので、どんなに頑張ってもオリジナル作品という事にはなりませんが、
頑張って描いたのは事実なので、ぜひ印刷して楽しんでいただけると嬉しいです。

周防大島弁講座。

こんにちは。

LINEスタンプでか文字特集に参加した事は、弊社トップページのインフォメーションでもお知らせいたしましたが、
周防大島弁というのは全く馴染みが無いだろうと思いまして。
僭越ながら周防大島弁について少しお話をしてみたいと思います。

実は私、周防大島出身者ではありません。
ただ、スタンプを作る為に、この地方の方言の本を、図書館でたくさん借りて勉強しました。
調べてみると、結構本が出ているのです、祝島弁のみの本などもあったり。
(祝島は、お隣の町の島で、全国的には神舞などで有名な島ですが、独自の方言を持っています。)余談でしたが。
生まれてからずっと山口県を出た事が無いので、この地方の方言は粗方分かりますし、
何となくのニュアンスが伝われば良いなぁ、という程度にご紹介です。

deka_01まずは、これ。
どねーもこねーもならんでー、ですが、標準語では「どうにもこうにもいかない」でしょうか。もう何をやってもダメ、というような感じです。転じて「無駄無駄!」とか「手遅れじゃ」というときにも使います。

deka_02次はこれ。
どーしょーかしら、ですが、標準語では「どのようにしたら良いかしら」となります。男性が言う場合は、「どーしょーかのぉー?」となりますが、キャラクターに合わせて柔らかい感じに仕上げました。

deka_03どんどんいきます。
どげーなかの。標準語では「どのような具合ですか?」「進行状況を教えてください」とか、かな。田舎では、かなり幅広く使います。挨拶にもなります、「お久しぶり、元気?」みたいな感じですね。とにかく、困ったら「どねーなかの?」とか「どれーなん?」とか言えば、会話が繋がっていく感じがします。怒っているのか、普通の顔で言うのか楽しそうに聞くのか、でニュアンスが変わってくる感じです。

deka_04今回の会心作です。
オレン爺さんのお父さんのネーブル爺さん、新キャラクターになります。ほんでどーっちゅうんかいや、標準語では「だから何なんだ」という訳ですかね。

deka_05新キャラのポンカンさん。
オレン爺さんとデコポン婆さんの娘です。どやしゃげられたいね、は「怒られたー」ですね。ちょっと口元を上げて描いていますので、笑い話としての報告、みたいな雰囲気です。

deka_06こらも新キャラ伊予柑さん。
ポンカンさんのお婿さんです。サザエさんでいうところのマスオさん的役です。どーかいのぉは、どげーなかのと同じ意味なのですが、もう少し直接的な「どう?」とか「できた?」とか「進んだ?」とか、その辺かなぁ。

deka_07キャラ設定ですが・・・
伊予柑さんは、ずーっとパーティ眼鏡をかけています。本当にビックリな事が起こると、眼鏡を外したり放り投げたりします。そういう設定で作りました。どひょーしえーで、は「物凄く良い」です。人により、または地域によっては、どようしえぇのぉになったりするのですが、周防大島は「よ」に近い「ひょ」かなぁ、と思うのです。

deka_08気に入っちゃった・・・
ネーブル爺さん、2度目の登場です。書き忘れましたが、3コマ目でオレン爺さんが抱っこしている赤ちゃんはレモン坊やと言いまして、ポンカンさんと伊予柑さんの子供です。この8コマ目はレモン坊やだけで作ろうと思ってたのですけど、ネーブル爺さんにしちゃいました。はーどーもなーど、は「もう大丈夫」かなぁ。体調不良からの回復時、もしくは何かが壊れて修理した、などで使います。

はい、半分はオレンジファミリーの紹介になってしまいましたが、周防大島弁、面白いと思いませんか?
多少、私なりの誤解釈も入ってるかもしれませんが、大きくはハズレてないはずです。
もし良ければ、でか文字スタンプを使ってみていただけると嬉しいです。

参考図書(申し訳ありませんが敬称略です)
山口弁(周南地方)辞典 阿部啓治
周防大島方言集  柳田国男、原安雄
大島の方言と訛集 河合美雄
昭和日本語の方言 第3巻(山口県祝島方言 ) 藤原 与一
周防大島ことば大全 山本隆志
柳井の方言 中川健次郎
中国・四国の方言  井上史雄
山口県方言辞典  山中六彦
面白くて為になる山口弁よもやま話 森川信夫

日本画とは。

前回、いろいろと絵の具の事を書きまして、
まだまだ、実は絵の具の話は終わってないのですけれども、続けても飽きるので違う話に進みます。

こちらは日本画のブログなんですけど、そもそも日本画って何だと思いますか?
葛飾北斎先生の富嶽三十六景とか有名ですね。
構図も含め見事!と言いたいのですが、あれは版画になります。
物凄く精巧ですが、木版画なので複数枚存在します。

日本画だと・・・尾形光琳先生の燕子花図でしょうか・・・国宝ですものね。

・写真のような写実を追わない。
・陰影が無い。
・鉤勒(こうろく、輪郭線)がある。
・色調が濃厚でない。
・表現が簡潔である。

この5つが日本画の説明らしいのです。
これを元にちょちょいとデジタル画を描いてみると・・・
tigai
このような違いでしょうか・・・
圧倒的に日本画の劣勢です。

でもですね、日本画というのはそういう枠に捕らわれる必要はないようなのです。
洋画だってそうですよね、自分の描きたいように描けば良いと思うのです。
ただ、やりたいようにやるならば芸術作品ではあれど日本画ではない、
日本画として基本的なというか大前提だろうという部分は押さえておきたいと思い、
私は「日本絵の具」で「和紙」に描く。これで日本画としました。

というわけで、今回は重要な和紙のお話です。

和紙も絵の具同様、調べてみるとわんさかあります。
その全てを取り寄せて比較したかったのですが、それはただの私の趣味の範囲でして・・・楽しそうですが・・・仕事として確立するという目的があったので、
手っ取り早く手に入る表装の道具から選定しました。

そうそう、これを書いていて今になってようやく思い出しましたが、
私は元々日本画を描く要員ではなくて、誰かが書いた日本画を「掛け軸にしましょう」という目的で研究を進めていました。
なので、掛け軸の道具の方が馴染みがあったのです。
それが急に日本画の方も担当する事になり、数年後、絵が仕事にならない事が決まっても社内でよくわからないまま美術担当のような事をしている訳です。
センスまったく無いですけどね。笑
何だか不思議なご縁があったのでしょう、まぁ、それは置いておきまして、
表装の道具から選ぶと、美濃紙、美須紙、宇陀紙、細川紙、この辺りから選定する事になりまして、
コスト的に一番安く手に入る美濃紙が見た目にも美しく、この紙にする事に決めました。
minogami
「耳」と呼ばれる、和紙の端の部分、物凄い魅力的です。
伝わりませんかね・・・

この美濃紙もそれぞれ厚みがありまして、
手元にあったのは「薄口」という最高に薄手の物と「中肉」という薄手の物、
この薄口とか中肉とか、それから耳というのは掛け軸の世界での言い回しなのですが、そのまま使用しますね、
薄口の方は上から手を放すと、ふぁっさーという感じで落ちます。
中肉の方は、ぱさっですね。
余談ですが、極薄口、薄口、中肉、厚口、特厚口となるので、極薄口は向こうが透ける程薄い和紙です。
washi_tigai
見た目の違いがこれです。
上が薄口、下が中肉です。
区別つきますでしょうか?

表装するならば、できるだけ紙の厚みが無い方が適しているのですが、
絵を描くとなると、薄口はあまりに扱い辛い、そんな理由だけで美濃紙「中肉」が決まりました。

和紙はそれぞれに特徴があり、そのどれに絵を描いても良い雰囲気が得られると思うのです。
暇とお金があれば、和紙の産地を回ってみたいものですが、数十年先かなぁ・・・
和紙の世界も後継者不足で、どんどん生産が減っているようなのでその頃にはどうなっているか分かりませんけどね。
ちなみに、私が使っている和紙は機械漉きと呼ばれる、コストを抑えた物です。
本当は職人さんの為にも、手漉き和紙を使いたいのですけどもね、コストがね・・・

画材を知る。

日本画のブログ、第一回目になります。

まず、私が日本画を描く事になった際、一番驚いたのが絵の具そのものでした。
この、絵の具のご紹介から始めたいと思います。

そもそも「絵の具」と聞けば何が思い浮かびますか?
水彩絵の具が一般的だろうと思いますが、あとは油絵の具でしょうか。
アクリル絵の具とかポスターカラーなどもありますね。

イメージとして、金属製のチューブ状に入った物、そしてキャップを回して外し、握るとグニュって出てくる半液体状の物を想像すると思います。
少なくとも私の概念ではそうでした。
suzuri
(見えやすいように、習字の硯の上に広げてみました。)

一番上に画像を載せていますが、この粒々した物・・・これが日本画の「白」の絵の具と聞き、
「えぇぇぇえええ!」って大声を出したのが懐かしいですね。
いろいろな種類はありますが、このサラサラした粉が絵の具なのです。
白は、殆どの場合、牡蠣の貝殻を砕いて作った「胡粉」(ごふん)と呼ばれる物で、
「これ・・・を、どうするんですか?」と言うのが精一杯でした。

絵の具っていう物がどうやって作られていて、紙にどのようにくっついて絵が描けているのか、考えた事すらありませんでした。
チューブ絵の具を出して絵を描く、
それまでそれが普通の事だったので深く知ろうとも思いませんでしたし調べる事もありませんでした。
しかし、
事態は急変しました・・・この粉をどうするの??え?絵の具じゃないし・・・貝殻の粉?・・・はて??・・・
絵の具について、今まで考えた事ありましたでしょうか?

回答です。
絵の具というのは、色の元となる人工的に作られた「顔料」を接着剤で紙にくっつけて絵を描いているのです。
水彩絵の具は、顔料をアラビアゴムという接着剤に練りこんで作っています。
同じように油絵の具は乾性油、アクリル絵の具はアクリル樹脂に顔料を混ぜています。
その接着剤の部分が乾いて、紙に顔料が定着している、という事なのです絵の具は。

で、
日本画の絵の具の場合、顔料の部分がさっきの貝殻の粉でして、接着剤はまた別に存在しており、
「膠」(ニカワ)という接着剤を混ぜて練り合わせて絵を描く事になります。
私は最初、聞いても意味が分かりませんでした。
は?って。
要するに、絵の具だけでは日本画は描けないのです。
接着剤が別に!接着剤が別に存在するのです。

あ!「そういえば、知り合いのおばあちゃんが使ってたパレットみたいなのに、色が出してある絵の具、
あの人日本画を描いてたよ、確か」と思い出したのですが、
その後調べて知ったのですがあれは「顔彩」と言いまして、お手軽に日本画が描ける画材なのです。
日本絵の具を膠に似た物で溶いて固めている物です。
ですから、筆を濡らせば顔彩で絵が描けます。
gansai

顔彩は、水彩絵の具と同じ感覚で描ける反面、やはり岩絵の具と比べて質感が劣る気がします。
おっと、岩絵の具と書きましたが、岩絵の具というのは鉱物を砕いて作った天然の日本絵の具の事です。
えーとえーと、でもでも、元々はこういう方式は中国が発祥なので日本絵の具という言い方も実は妙なのかもしれません。
はい、いろいろ書き始めるとキリがないですね。いつも長くなってスミマセン。
とにかく顔彩は、定着力が弱く、発色が良い、こう覚えておけば良いと思います。

昔は天然の、例えば砂とか土とか、そういった物を絵の具として用い絵を描いたという事です。
ですから、緑色が欲しければ緑色をした泥を探しに行って掘って取って戻ってくる、こういった事をしていたのです。
今でも日本画が一億円とかしたりするのは、宝石を砕いて絵の具として使っているなどの理由もあるのです。
悪い癖で、話が飛びまくりですけれど、
とにかく説明が難しい!日本画はお金がかかってしかも面倒臭い、という事だけ知って頂ければいいかな、と・・・
全然皆様におススメするブログじゃなくなってますね。笑

気を取り直して、
では、割と簡単に使えて、それなりの質感を得られる絵の具をご紹介して、今回は終わるとします。
suihi

水干絵の具(すいひえのぐ)と言います。
これはガラスを着色して砕いて精製した絵の具になります。
顔彩よりも粒子が大きいので、塗り重ねるとそれなりの質感があり趣のある仕上がりになります。

写真合成への誘い。

はい、
2018年5月のトップページ画像なのですが、
写真を切り抜き加工して手描きの絵と合成している事は既にブログに記載済みですが、
元の写真を公表します、実はこんなのなのです。
cut_02
そして加工後の、
同じサイズの物がこれです。
黒背景にしたかった理由を、共感していただけると嬉しいです。
cut_03

元の写真、驚かれましたでしょうか、それとも予測がつきましたか?
「いやいやいや、そんなの見たら大体わかったよ」という事でしたら、
まだまだ私の修行が足りていないという事になりますね。

こんにちは。
今回はちょっと長くなりそうです。
一生懸命書くので、お仕事の合間にでも少しづつ読んでいただければ幸いです。

なお、
これが正解です、という手順を手解きしたい目的ではなく、
あくまでも私自身のコダワリを書いていき、その中で面白そうだなぁ、やってみたいなぁという人が増えるといいな、と思ってやってます。

まず、私が使っている写真加工ソフトは、Adobe社のPhotoshopです。
Creative Cloudという名前になってからは、どんどん進化を遂げ、今や設定や手法が上達すれば、機械任せの切り抜きも、
手作業で切り抜いたのと近い物が仕上がるのは知っています。
ですが、
どんなに進化しようが私は手動での切り抜きにこだわりたい。
なぜなら、機械には絶対に私の作業は無理だと思っているからです。
矛盾していますが、やはり機械の加工は機械なり、手作業は手作業なりの利点、欠点があります。
最大のデメリットは、時間が大量に必要だという事。
加工にこだわればこだわる程、時間を要します。

メリットは、1ドットまでこだわった仕上がりになる、という事ですかね・・・
手作業の方が綺麗、と書くといろいろ語弊が生じますね、ソフト任せでも充分綺麗にできますから。

ではなぜ手作業にこだわるのか、ですが、
「自分でそうしたいんだ機械任せにしたくないから」これに尽きるのです。

さて、私が写真加工する際に考えるポイントがいくつかあります。
 ・生物なのか静物なのか
 ・硬度を考える
 ・交わりは必ず直角
 ・隠されている継続を考える
 ・奥の物から切り取る(残す)
 ・色に騙されない
こういうポイントを常に意識する事で、他の人が加工するのと違う物ができたら良いな、と。
今回実は秘密にしておきたい事までハリきって書いてしまう勢いですが、
楽器を演奏する人が他人の楽器を使っても自分の音が出せるという件を例えにして、
まるっきり同じ事をやって写真を繰り抜いたとしても、まったく違う物になるだろうなという自信もあって、
まぁ、大丈夫かなぁ、と思ったり思わなかったり・・・
逆に言えば、私がどんなに人を真似ても同じ物は作れない、という事にもなるんですけどね。

詳しくみていきます。
「生物なのか静物なのか」という項目は「硬度を考える」というのとよく似ています。
例えば、このような「鉄の棒を握っている手」の画像を切り抜く場合で説明したいと思います。
cut_04
下図左のように、生物か静物かを考えずに背景を削除すると、手まで鉄でできた質感に仕上がります。
尤も、写真で質感の違いは判りますが、下図右のように切り抜く際に揺らぎを出して手の部分だけは有機物なのだというのを意識します。
cut_06
わかりやすいように少しオーバーに画像作成しているのはご了承下さい。
実際は、ここまであからさまに揺らしていませんが、手は手の質感を意識しつつ、微妙に揺らします。ですから、花菖蒲の画像では、花は花なり、葉は葉なりの揺らし方をしています。

「硬度を考える」というのは、少し上でも触れましたように、同じ生物であっても、花びらは柔らかい、茎は固く力を加えると折れる、葉は固いけれどしなやか、この辺りの差を揺らし方で表現しようと思ってやっています。
難しいのは無機質の物ですね。プラスチックの机とまったく同じ鋼鉄製の机が並んであった場合、どのような差を付けるのか?
やってみないと分かりませんが、やはりプラスチックと鉄は違う物だというのを意識して切り抜きます。

「交わりは必ず直角」というのは・・・直角は90度ですからね・・・少し説明が違うのですが、ニュアンスはこういう感じです、という事で直角を使いました。
cut_07
見た目わかりづらいですが、やはり鉄の棒を持った手の拡大図でご説明します。
上記左は、直角を意識していない仕上がりです。棒と手の堺が緩やかなカーブでまるで一体の物みたいです。
変わって、上記右は、棒は棒、手は手という区別が付きます。
下図は、鉄の棒の部分の透明度を下げて、手が透けて見えてる状態です。
cut_08
実際、手と棒はこんなにクッキリと交差しているのですから、
その棒と手の境界を曖昧に削除したらダメだと思うのです。

はい次は「隠されている継続を考える」ですね。
花菖蒲であれば、連なる茎の後ろをしなやかな葉がスーッと渡っている部分ですね。
cut_09
例えばこんな画像。
下図左のような切り抜きができば最高ですが、後ろを渡っている線が一本に連なっている事を意識せずにカットすると、右のようになります。
cut_10
どうでしょうか?
右はなんだかギクシャクしています、伝わりますでしょうか。
連続して見えないように、ドットとしてはたったの1ドットだけ輪郭線を妙に削っております。

私は写真を、投げ輪ツールで囲んで、選択した部分だけ削除しているのですが、
やり方はもう一つあって、マスクするという方法ですね。なので、「奥の物から切り取る(残す)」という書き方をしているのはそのせいです。
マスクの場合が「残す」なんですけど、本格的に写真をいじっておられる方々はマスクの方法が良いと言っておられますね。
単純なのは削除です。
奥の物からっていう書き方をしましたが、
背景だけ削除して、次はいらない葉っぱ、そして重なっている花を・・・なんてやっていたらいつまで経っても完成しません。
ケースバイケースで削除方法は違いますが、奥の物から、奥の物からという順序で削除した方が綺麗に仕上がるのは実験済みなのです。
ですから一応、その辺は常に意識しています、という事で書いております。
cut_11

cut_12
奥側から徐々に線を確定していくイメージでしょうか。
cut_13

cut_14
こんな感じです。

「色に騙されない」という項目ですが、写真はカメラがかなり色を支配しています。
見た目が美しく見えるように、日差しの強い部分などは輝き、その手前にあるものすら消してしまう勢いで目立ちます。
cut_19
当然、明暗が激しい物、カラフルな物は、写真を拡大すると輪郭線を誤解してしまうまでにカメラが勝手に操作しているのですが、
でも、そのおかげで写真は綺麗に見えています。
そこはそれ、例えば一本の線であれば、連なる一本の棒として削除方法を変える必要はあります。
消えた輪郭線を自分で作るのです。
その場合、違和感が出ないように色を上から被せる必要がありますが、その辺は少し高度なので今回は書きません。
cut_15
(一例として、輪郭線がぼやけている感じです。花びらに隣接の塀もうっすら紫色になっています。)

あとはそうですねぇ、
実際の写真にはマンガのような輪郭線は存在しませんが、輪郭線が存在しているとします。
その輪郭の外のラインを基準に削除するのか、ちょうど中央を削除するのか、はたまた内側を削るのか、で仕上がりがまったく変わります。
私は、内側を削っています。輪郭線がまったく残らないようにやっています。
理由は、その仕上がりが好きだからです。
cut_16
↑輪郭線の外側を削除した例

cut_17
↑輪郭線のちょうど上(輪郭線を半分残すイメージ)で削除した例

cut_18
↑輪郭線の内側に皮一枚を残して輪郭線をほぼ削除した例

私は大体いつも皮一枚残して削除しているのですが、やっているとだんだん削除したい気分になって最終的には輪郭線がまったく無い削り方をしています。
出来上がる物に、かなりの差が出ます。しかしそのどれも間違いではなく、好みの問題だと思います。

はい、後半ちょっと駆け足でしたが、何とか書き上げる事ができました。
クリエイティブな作業というのは楽しいのです。
今や、写真の加工は割と手軽にできるようになっているのです、ぜひ足を踏み入れて欲しいと思います。

ひっそりと。

弊社の一室に、実は掛け軸が掛かっています。
もう5年間、365日ずっとという掛けっ放し状態なので、「たわみ」が出て糊が一部剥がれてしまってますが、
なかなか良い佇まいなのです。

本来、掛け軸というのは掛けたままにするものではなく、せいぜい1か月が限度で次々に交換して愉しむ物なのです。
重みで歪みが出てしまい、破れたり変形したりする物なので。
知らないですよね、私も勉強したから知ってるだけです。

会社の壁があまりに素っ気ないので飾っているのですが、これを作成したのは私なのです。
絵も軸装も全て一人でやりました。
その当時、絵を製作して会社として販売する道を模索しており、
そのプロジェクトに携わった関係で、今現在も社内で美術的な事を担当している訳です。

掛けたままにしては、まだそんなに「反り」も出ておらず、蛍光灯の明かりで絵の具が劣化して趣が更に深くなりました。
ちゃんと肉筆画なのです。
ですからコストがどうしても計画した額に見合わず断念しましたが、
この軸を見る度に、当時の事を思い出します。

せっかく日本画を勉強したので、時々は絵の具と戯れたいのですが、
日々、いろいろな事に追われ、既に3年くらいは岩絵の具と触れ合ってないのが実情です。
多分、知識も技術もリセットされているかなぁ・・・
デジタル処理の絵も、それはそれで楽しいのですけどね、やはり実際の絵の具を触るのは楽しいのです。

このブログで、今までに私が描いた絵や、
掛け軸や日本画そのもの基本的な事についての紹介ができれば良いな、と考えています。
インターネットで調べても調べても分からなかった事とか書けば、
これはかなり貴重な内容になるだろうな、と。(・・・と思って、
今検索してみたら・・・出ますね、7年前はヒットしなかったのになぁ・・・
という訳で、申し訳ありませんが貴重な情報は書けないです。)

正直なので公表しますが、今のままではネタに乏しくて。笑

いやまぁ、今年はもう少しこのブログに力を入れようかな、と考えていて、
幅を広げれば、それだけ書ける内容も膨らみますものですから。

私が日本画や軸装の世界に足を踏み入れた当初、「は?」とか「え!」とかいう驚きがたくさんで、
それを紹介して皆様に知っていただくのも面白いかと思います。

失いたくない日本の文化、ブログを読んだ人が挑戦してくださったりしたら意味深いなぁ、と単純に想うのです。

おまたせしましたカレンダー横です。

ご要望のあった、オリジナルカレンダー横バージョンを公開します。

最近私は、ほぼすべての作業をAdobe Illustratorというソフトで作っているのですが、
縦バージョンをカッチリ作りこんでいたので、修正が割とスムーズにできました。
2018_calendar_yoko

4月2日になってしまいましたが、想像よりも早く仕上がったのはソフトウェアのお陰でもあります。

2018年度カレンダー横版

横置きの方が、いろいろな部分が収まりが良い感じがします。
使うのも、やはり横バージョンの方が使い勝手が良さそうですね。

オリジナルカレンダー公開。

辛かったです。こーいうのニガテなんですよね。

さておき、
ついに完成しました、オリジナルカレンダー。
正にギリギリですね。汗

前回からの改善点を修正すべく、2017年の年末から計画はスタートしていたのですが、
社内で出た意見をどうやったら反映できるのか、それをまずは考えるところから始まりました。
あーでもないこーでもない、と何回繰り返したか。

苦労はいろいろありましたが、一番大変だったのは、大雑把な性格の人間がこういったカッチリした物を作る事。
前作も努力が必要でしたが、コマ割りが単純だったので、まだ作成しやすかったのです。
今回は、月ごとに計算して、0.1㎜の隙も無いように細部まで確認しました。
いや・・・したつもりです。笑

年度初めから使えるように、4月1日に間に合わせるのにヒヤヒヤですよ。
今回のポイントは、休みの日の記載欄を大きくした「るんるん仕様♪」と、日にちが書いてある丸が月齢になっている点ですね。
A4サイズだと分かりづらいと思いますが、A3サイズのカラー印刷を出すと、割と重宝すると思います。

色数の多い色鉛筆の箱を開けると、私はその多彩な色にワクワクするのです。
そこを目指して、いろいろな色を敢えて使っています。
人によってはそれが目障りに感じる方もいらっしゃいますでしょうが、狙いがあっての事なのでご容赦下さい。
一応、モノクロ印刷にもしてみましたが、そんなに悪くないと思いますので、
カラフルなのが嫌な場合は、白黒印刷も試してみてください。

かなり時間を割いて作成したので、
ぜひダウンロードして使ってみていただけると嬉しいです。
最下部にダウンロードボタンを作っておりますので、そこからPDFファイルを保存し、お手持ちの印刷機でご出力下さい。

2018_calendar_zenbu
実は・・・縦置きではなくて、横が良かったという話でして・・・
絶賛修正中ですが、これは時間かかるので間に合いません。
でき次第、またお知らせ致します。
2018年度カレンダー

新しいページを追加しました。

2023年加筆。
この下にグダグダといろいろな説明を書いている2018年ですが、
結局、最終的には2019年にLINEスタンプの申請が通り、今現在販売中でございます。
よって、ブログを書いたという記録の保存として、残しておきます。
LINEスタンプオレン爺の時間です

ココ↓以降が、2018年に書いた内容です。

ひっそりですが、我が社のホームページのトップに、新たなボタンを設置しております。
何のお知らせもしていないので、また、なるべく目立たないようにという色使いなのでお気付きにならないだろうと思います。
そこは狙っての事なのです。

会社でオリジナルスタンプを作ってみようと決めた際、
「LINEでいちいち、何時何分って打つの面倒なので、24時間の24個と00分から59分までの60個、計84個のスタンプを作ったらどうか?」と提案があったのが、2015年の5月なのでもう3年近く前。
「お、それ良いですね、名案です!」って描き始めたのですが、正直何の絵を描けば良いのやら全く分かりません・・・「59分って何の絵?」って。
文字と絵は、一応は関連が必要なのです。
しかも、当時は40個の絵が全て合格しなければ使用する事もできなかったのですが(当時と今では、多少ルールが変わっています)、40個の絵を描くのもカナリ苦労しており・・・
84個描くの無理、例えば40-40で分けたとして後の4個どうするの無理!って放り投げれば良かったのですが、そこはそこ、私なりの一手間を加えて何とかたったの40個に収めようという工夫、素晴らしい努力ですよね、
誰も褒めてくれないので自画自賛ですけども。

はい、でもこの時報のスタンプ、完成して審査に送ると見事に全部返却されたのです
「会話、コミュニケーションに適していないもの」です、って・・・
え?
いやいやいや、会話に使えるでしょ、って思ったのですが、修正して返送してみると今度はこうです
「LINEが定めるフォーマットに合致しない(時間及び数字の表記)」だそうで・・・
お!何回送り直しても通す気はないぞ、という強い意志を感じました。
どうりで時報のスタンプ、見かけない訳です。

紆余曲折を経て、今はこれらの画像は違った道で頑張ってくれているのですが、
そもそもの時報のアイデア、良いと思ったので外部サイトに「非公認スタンプ」として自由にダウンロードできるよう登録しておいたのですけども、久々に確認するとそのサイトからダウンロードできない事に気付きまして。
ならば、と自社のホームページに新たに1ページ加えてみました。

ただ前述の通り、
当サイトのものはLINEで公認のスタンプではないので、画像を表示するという扱い方になります。
そして、ダウンロードしたファイルはZIPファイルという圧縮形式なのですが、スマートフォンやOSのバージョンにも依るのでしょうか、解凍ツールが必要だったり必要無かったり様々のようです。
解凍せずにファイルを送信すると、画像は表示されずリンクのテキストボタンが表示されるので、「何だこれは?」ってなりますのでご注意ください。
テストを依頼した社員からは、画像ファイルの上部を40個の妙な画像が占有するので嫌だという意見も出ましたが・・・まぁ、公認ではないので使い辛いのはご容赦ください。
便利だと思うんだけどなぁ・・・

なお、このダウンロードページにはトップページからしか行く方法はありません。
やはりホームページのトップというのは、休暇のお知らせをしたり重要なページだと考えます。
なので、トップページを見ていただきたいという想いから、敢えてこういう方法を選択しました。
頻繁にトップページ画像を更新しているのも、そういう意味があります。
3Dプリントとかオリジナルカレンダーのページにも書いたと思うのですが、一風変わった事にも一生懸命挑戦しています、というご紹介でした。

(2019年5月1日加筆 上記のスタンプですが再度申請を出したところ、4月30日に承認が下りましたので正式販売を開始いたしました。それに伴い、トップページから飛べるボタンは消去いたしました。
どうぞご了承ください。)