月別アーカイブ: 2018年5月

九州北部と四国が梅雨入り。

例年より8日早く、ここ山口県も梅雨入りした模様です。

かねてより、ヒソカに梅雨入り時にトップページ画像を変更しようと考えていたのですが、
まさか6月のトップページを表示するよりも先にこちらを使うとは思いもしませんでした。

梅雨入り時の画像は、
山口県周防大島にカミナリさまが雨を降らせているイメージでした。
当初は、もっと浮世絵的に葛飾北斎先生の富嶽三十六景 神奈川沖浪裏の図柄をお借りして
周防大島が溺れそうになっている雰囲気と、
そこに俵屋宗達先生の風神雷神を配置しようと思っていたのですが、
正直私の腕では無理でした。

そんな私は、今現在LINEスタンプにて「応援スタンプ」キャンペーン(6月14日~6月27日)に参加したく考えており、
そのスタンプ申請に使うキャラクターとして、以前描いた「心まで裸の王様」っていうのがあるのですが、
その王様がカミナリさまの変装をしているキャラクターを使っており、
ちょうど良いな、と思って周防大島の地図に当てはめてみました。

天気予報を見ていると、時々こういう妙なせり上がりをしている日本地図を使っている局がありますが、
あれが私は好きなのです。
ギアナ高地とかロンダルキアを想起させる、冒険心をくすぐる感じですね、
なので、もう少し私はぐっとぐっとせり上げてみました。

キャラクターはなるべく今年は使わないようにしていたのですが、
6月に入っても少しの間こちらを表示させたいと思っておりますので、
カミナリさまになった王様、しばらくよろしくお願いします。

画材を知る。

日本画のブログ、第一回目になります。

まず、私が日本画を描く事になった際、一番驚いたのが絵の具そのものでした。
この、絵の具のご紹介から始めたいと思います。

そもそも「絵の具」と聞けば何が思い浮かびますか?
水彩絵の具が一般的だろうと思いますが、あとは油絵の具でしょうか。
アクリル絵の具とかポスターカラーなどもありますね。

イメージとして、金属製のチューブ状に入った物、そしてキャップを回して外し、握るとグニュって出てくる半液体状の物を想像すると思います。
少なくとも私の概念ではそうでした。
suzuri
(見えやすいように、習字の硯の上に広げてみました。)

一番上に画像を載せていますが、この粒々した物・・・これが日本画の「白」の絵の具と聞き、
「えぇぇぇえええ!」って大声を出したのが懐かしいですね。
いろいろな種類はありますが、このサラサラした粉が絵の具なのです。
白は、殆どの場合、牡蠣の貝殻を砕いて作った「胡粉」(ごふん)と呼ばれる物で、
「これ・・・を、どうするんですか?」と言うのが精一杯でした。

絵の具っていう物がどうやって作られていて、紙にどのようにくっついて絵が描けているのか、考えた事すらありませんでした。
チューブ絵の具を出して絵を描く、
それまでそれが普通の事だったので深く知ろうとも思いませんでしたし調べる事もありませんでした。
しかし、
事態は急変しました・・・この粉をどうするの??え?絵の具じゃないし・・・貝殻の粉?・・・はて??・・・
絵の具について、今まで考えた事ありましたでしょうか?

回答です。
絵の具というのは、色の元となる人工的に作られた「顔料」を接着剤で紙にくっつけて絵を描いているのです。
水彩絵の具は、顔料をアラビアゴムという接着剤に練りこんで作っています。
同じように油絵の具は乾性油、アクリル絵の具はアクリル樹脂に顔料を混ぜています。
その接着剤の部分が乾いて、紙に顔料が定着している、という事なのです絵の具は。

で、
日本画の絵の具の場合、顔料の部分がさっきの貝殻の粉でして、接着剤はまた別に存在しており、
「膠」(ニカワ)という接着剤を混ぜて練り合わせて絵を描く事になります。
私は最初、聞いても意味が分かりませんでした。
は?って。
要するに、絵の具だけでは日本画は描けないのです。
接着剤が別に!接着剤が別に存在するのです。

あ!「そういえば、知り合いのおばあちゃんが使ってたパレットみたいなのに、色が出してある絵の具、
あの人日本画を描いてたよ、確か」と思い出したのですが、
その後調べて知ったのですがあれは「顔彩」と言いまして、お手軽に日本画が描ける画材なのです。
日本絵の具を膠に似た物で溶いて固めている物です。
ですから、筆を濡らせば顔彩で絵が描けます。
gansai

顔彩は、水彩絵の具と同じ感覚で描ける反面、やはり岩絵の具と比べて質感が劣る気がします。
おっと、岩絵の具と書きましたが、岩絵の具というのは鉱物を砕いて作った天然の日本絵の具の事です。
えーとえーと、でもでも、元々はこういう方式は中国が発祥なので日本絵の具という言い方も実は妙なのかもしれません。
はい、いろいろ書き始めるとキリがないですね。いつも長くなってスミマセン。
とにかく顔彩は、定着力が弱く、発色が良い、こう覚えておけば良いと思います。

昔は天然の、例えば砂とか土とか、そういった物を絵の具として用い絵を描いたという事です。
ですから、緑色が欲しければ緑色をした泥を探しに行って掘って取って戻ってくる、こういった事をしていたのです。
今でも日本画が一億円とかしたりするのは、宝石を砕いて絵の具として使っているなどの理由もあるのです。
悪い癖で、話が飛びまくりですけれど、
とにかく説明が難しい!日本画はお金がかかってしかも面倒臭い、という事だけ知って頂ければいいかな、と・・・
全然皆様におススメするブログじゃなくなってますね。笑

気を取り直して、
では、割と簡単に使えて、それなりの質感を得られる絵の具をご紹介して、今回は終わるとします。
suihi

水干絵の具(すいひえのぐ)と言います。
これはガラスを着色して砕いて精製した絵の具になります。
顔彩よりも粒子が大きいので、塗り重ねるとそれなりの質感があり趣のある仕上がりになります。

写真合成への誘い。

はい、
2018年5月のトップページ画像なのですが、
写真を切り抜き加工して手描きの絵と合成している事は既にブログに記載済みですが、
元の写真を公表します、実はこんなのなのです。
cut_02
そして加工後の、
同じサイズの物がこれです。
黒背景にしたかった理由を、共感していただけると嬉しいです。
cut_03

元の写真、驚かれましたでしょうか、それとも予測がつきましたか?
「いやいやいや、そんなの見たら大体わかったよ」という事でしたら、
まだまだ私の修行が足りていないという事になりますね。

こんにちは。
今回はちょっと長くなりそうです。
一生懸命書くので、お仕事の合間にでも少しづつ読んでいただければ幸いです。

なお、
これが正解です、という手順を手解きしたい目的ではなく、
あくまでも私自身のコダワリを書いていき、その中で面白そうだなぁ、やってみたいなぁという人が増えるといいな、と思ってやってます。

まず、私が使っている写真加工ソフトは、Adobe社のPhotoshopです。
Creative Cloudという名前になってからは、どんどん進化を遂げ、今や設定や手法が上達すれば、機械任せの切り抜きも、
手作業で切り抜いたのと近い物が仕上がるのは知っています。
ですが、
どんなに進化しようが私は手動での切り抜きにこだわりたい。
なぜなら、機械には絶対に私の作業は無理だと思っているからです。
矛盾していますが、やはり機械の加工は機械なり、手作業は手作業なりの利点、欠点があります。
最大のデメリットは、時間が大量に必要だという事。
加工にこだわればこだわる程、時間を要します。

メリットは、1ドットまでこだわった仕上がりになる、という事ですかね・・・
手作業の方が綺麗、と書くといろいろ語弊が生じますね、ソフト任せでも充分綺麗にできますから。

ではなぜ手作業にこだわるのか、ですが、
「自分でそうしたいんだ機械任せにしたくないから」これに尽きるのです。

さて、私が写真加工する際に考えるポイントがいくつかあります。
 ・生物なのか静物なのか
 ・硬度を考える
 ・交わりは必ず直角
 ・隠されている継続を考える
 ・奥の物から切り取る(残す)
 ・色に騙されない
こういうポイントを常に意識する事で、他の人が加工するのと違う物ができたら良いな、と。
今回実は秘密にしておきたい事までハリきって書いてしまう勢いですが、
楽器を演奏する人が他人の楽器を使っても自分の音が出せるという件を例えにして、
まるっきり同じ事をやって写真を繰り抜いたとしても、まったく違う物になるだろうなという自信もあって、
まぁ、大丈夫かなぁ、と思ったり思わなかったり・・・
逆に言えば、私がどんなに人を真似ても同じ物は作れない、という事にもなるんですけどね。

詳しくみていきます。
「生物なのか静物なのか」という項目は「硬度を考える」というのとよく似ています。
例えば、このような「鉄の棒を握っている手」の画像を切り抜く場合で説明したいと思います。
cut_04
下図左のように、生物か静物かを考えずに背景を削除すると、手まで鉄でできた質感に仕上がります。
尤も、写真で質感の違いは判りますが、下図右のように切り抜く際に揺らぎを出して手の部分だけは有機物なのだというのを意識します。
cut_06
わかりやすいように少しオーバーに画像作成しているのはご了承下さい。
実際は、ここまであからさまに揺らしていませんが、手は手の質感を意識しつつ、微妙に揺らします。ですから、花菖蒲の画像では、花は花なり、葉は葉なりの揺らし方をしています。

「硬度を考える」というのは、少し上でも触れましたように、同じ生物であっても、花びらは柔らかい、茎は固く力を加えると折れる、葉は固いけれどしなやか、この辺りの差を揺らし方で表現しようと思ってやっています。
難しいのは無機質の物ですね。プラスチックの机とまったく同じ鋼鉄製の机が並んであった場合、どのような差を付けるのか?
やってみないと分かりませんが、やはりプラスチックと鉄は違う物だというのを意識して切り抜きます。

「交わりは必ず直角」というのは・・・直角は90度ですからね・・・少し説明が違うのですが、ニュアンスはこういう感じです、という事で直角を使いました。
cut_07
見た目わかりづらいですが、やはり鉄の棒を持った手の拡大図でご説明します。
上記左は、直角を意識していない仕上がりです。棒と手の堺が緩やかなカーブでまるで一体の物みたいです。
変わって、上記右は、棒は棒、手は手という区別が付きます。
下図は、鉄の棒の部分の透明度を下げて、手が透けて見えてる状態です。
cut_08
実際、手と棒はこんなにクッキリと交差しているのですから、
その棒と手の境界を曖昧に削除したらダメだと思うのです。

はい次は「隠されている継続を考える」ですね。
花菖蒲であれば、連なる茎の後ろをしなやかな葉がスーッと渡っている部分ですね。
cut_09
例えばこんな画像。
下図左のような切り抜きができば最高ですが、後ろを渡っている線が一本に連なっている事を意識せずにカットすると、右のようになります。
cut_10
どうでしょうか?
右はなんだかギクシャクしています、伝わりますでしょうか。
連続して見えないように、ドットとしてはたったの1ドットだけ輪郭線を妙に削っております。

私は写真を、投げ輪ツールで囲んで、選択した部分だけ削除しているのですが、
やり方はもう一つあって、マスクするという方法ですね。なので、「奥の物から切り取る(残す)」という書き方をしているのはそのせいです。
マスクの場合が「残す」なんですけど、本格的に写真をいじっておられる方々はマスクの方法が良いと言っておられますね。
単純なのは削除です。
奥の物からっていう書き方をしましたが、
背景だけ削除して、次はいらない葉っぱ、そして重なっている花を・・・なんてやっていたらいつまで経っても完成しません。
ケースバイケースで削除方法は違いますが、奥の物から、奥の物からという順序で削除した方が綺麗に仕上がるのは実験済みなのです。
ですから一応、その辺は常に意識しています、という事で書いております。
cut_11

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奥側から徐々に線を確定していくイメージでしょうか。
cut_13

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こんな感じです。

「色に騙されない」という項目ですが、写真はカメラがかなり色を支配しています。
見た目が美しく見えるように、日差しの強い部分などは輝き、その手前にあるものすら消してしまう勢いで目立ちます。
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当然、明暗が激しい物、カラフルな物は、写真を拡大すると輪郭線を誤解してしまうまでにカメラが勝手に操作しているのですが、
でも、そのおかげで写真は綺麗に見えています。
そこはそれ、例えば一本の線であれば、連なる一本の棒として削除方法を変える必要はあります。
消えた輪郭線を自分で作るのです。
その場合、違和感が出ないように色を上から被せる必要がありますが、その辺は少し高度なので今回は書きません。
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(一例として、輪郭線がぼやけている感じです。花びらに隣接の塀もうっすら紫色になっています。)

あとはそうですねぇ、
実際の写真にはマンガのような輪郭線は存在しませんが、輪郭線が存在しているとします。
その輪郭の外のラインを基準に削除するのか、ちょうど中央を削除するのか、はたまた内側を削るのか、で仕上がりがまったく変わります。
私は、内側を削っています。輪郭線がまったく残らないようにやっています。
理由は、その仕上がりが好きだからです。
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↑輪郭線の外側を削除した例

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↑輪郭線のちょうど上(輪郭線を半分残すイメージ)で削除した例

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↑輪郭線の内側に皮一枚を残して輪郭線をほぼ削除した例

私は大体いつも皮一枚残して削除しているのですが、やっているとだんだん削除したい気分になって最終的には輪郭線がまったく無い削り方をしています。
出来上がる物に、かなりの差が出ます。しかしそのどれも間違いではなく、好みの問題だと思います。

はい、後半ちょっと駆け足でしたが、何とか書き上げる事ができました。
クリエイティブな作業というのは楽しいのです。
今や、写真の加工は割と手軽にできるようになっているのです、ぜひ足を踏み入れて欲しいと思います。

五月(2018)のトップページ画像を描きました。

ゴールデンウィーク真っただ中、
どこにも出掛ける予定はありませんが、皆様どのようにお過ごしでしょうか。

さて、爽やかな時候ですね。
最近は温暖化の影響で既に夏日ですが、それでもこの時期は過ごしやすくて良いですね、
少し着る服に困りますけれど。

5月のトップページの構想は、「花菖蒲」「木道」「湿地」だったのですが、
花菖蒲の写真を切り抜く際、背景に真っ黒の塗り潰し画像を使ったら、これが案外良くてですね。
花がとても綺麗に浮かび上がるのでこのまま採用しよう、かなと。
ただ、会社のホームページで黒い画像はありえるのかなぁ、と思いつつ、
いや、あまり固定観念に囚われては面白い物はできない、とそのまま掲載してみました。
ページを開いた瞬間、前回とのギャップでギョッとされた方も多いと思いますが。

切り抜いた花菖蒲が少し寂しいかなぁ、少し足そうかなぁ、と思っていたのですが、
同時期にテレビで偶然見た番組で、
女優の中谷美紀さんが、「美の究極は千利休の世界、シンプルイズベストですよ」というのを聞いて、
あ、そういう事か、と。
なので、無理に足すことは止め。自然のままが良いな、と。
画像を茎の途中でブッツリ切っているので、そこは残念ではありますが、根元まで入れると相当小さくなるので仕方ないですね。
それから、こういう物を作る時は配置が物凄くデリケートでして、
余白のサイズ・場所、頂点の位置、色の兼ね合い、等々複合的な目で見、
良さが出せているかどうか・・・うーん・・・正直疑問ではありますが、どうでしょう?

写真を切り抜くと、ペラッペラな物が貼り付いているいるようにしか見えず、
奥行を出す為に活躍してくれたのが二点透視法で描いた木道です。
湿地は、黒背景に描くのは難しく、川にしました。
川はもう大胆に、ピンク色で仕上げてしまいました。

結構間違えておられる方がいらっしゃると思いますが、
「花菖蒲」と「菖蒲」はまったく別の物です、ご注意ください。